ネイル用語の1つである「スカルプ」とは「スカルプチュア」の略で、人工的に爪の長さを足したり、厚みを出す技術のことを指しています。
以前はアクリルを使用したスカルプが主流でしたが、昨今はジェルを使ったジェルスカルプが人気でです。
ジェルスカルプが普及してからは、ネイルサロンはもちろん、セルフネイラーも簡単に長さ出しをすることができるようになりました。
しかし、アクリルのスカルプチュアと比べて、「ジェルスカルプは取れやすい・持ちが悪い」という意見もあるようです。
今回は、ジェルスカルプが取れる原因と、セルフネイルでも長持ちさせるポイントをご紹介します。
ジェルスカルプとは?

現在ネイルの主流となっているジェルネイルは、以前からあるアクリルネイルと比べて難しい技術は必要なく、オフも自分でできるため、今までセルフネイルをしたことがない人でも気軽に挑戦することができます。
そしてジェルスカルプとは、「ジェルネイルを使った人口爪を作る技術」のことで、爪の長さ出しをしたり、厚みを出したりするものです。
ちなみに、ネイルサロンでは「スカルプ」というと以前からある「アクリル」を使ったものを指すこと多いです。
そのためサロンで長さ出しを希望する場合は、ジェルを使うスカルプなのか、アクリルを使うスカルプなのか、事前に必ず確認するのがおすすめです。
ジェルスカルプが取れやすいのはなぜ?

ジェルスカルプは、セルフでもつけることができます。
しかし、アクリルスカルプに比べると、ジェルスカルプは「取れる・持ちが悪い」という意見もあります。
そして、特にセルフでつけたものは取れやすく、困っている方も多いようです。
では、ジェルスカルプが取れやすいのは一体何が原因なのでしょうか?
以下で1つずつ解説します。
プレパレーション不足
ネイルのプレパレーションとは、簡単に言うとネイルを塗る前のケアのことを指します。
ネイルの持ちを良くして、クオリティもアップするにはプレパレーションが欠かせません。
これはジェルネイルに限らず、アクリルやマニキュアであっても同じです。
このプレパレーションが正しくできないと、本来長持ちするはずのジェルスカルプが、すぐに取れてしまったり、浮いてしまう可能性が高くなるのです。
■ジェルスカルプのプレパレーションのやり方
ジェルスカルプのプレパレーションは、基本的にジェルネイルをつける時と同じです。
以下のような工程を経てつけていきます。
- エメリーボードで爪の長さや形を整える
- キューティクルリムーバーとプッシャーで甘皮を押し上げる
- プッシャーのかき出し部分やキューティクルニッパーを使って余計なルースキューティクルを取り除く
- バッファーで爪全体を軽くサンディングする
- ダストブラシでカスをはらい、エタノールとワイプで爪の油分・水分を拭き取る
もしベースジェルにノンサンディングジェルを使っている場合、④の工程は省きます。
また、ネイルマシンでプレパレーションをする場合は、プッシャーやエメリーボードを使わないこともあります。
ネイリストや慣れている人ならプレパレーション自体は10分程度で終わることもありますが、時間が短ければいいというものではありません。
甘皮の押し上げが足りないと根本から浮いてしまったり、サンディングやダストオフが足りないと爪からパカッと取れてしまったりするので、プレパレーションは爪の根本から爪先までしっかりと丁寧に行うことが大切です。
長さに対してジェルの強度が足りない
ハードジェルやセミハードジェルではなく、通常のソフトジェルを使ったスカルプの場合、1センチ以上長さを出そうとすると高確率で取れる、折れるなど持ちが悪くなります。
ソフトジェルは、ネイルサロンやセルフネイルで一般的に使われている「アセトンでオフできるタイプのジェル」を指し、爪にフィットしやすい、オフがしやすいというメリットがあります。
しかし、強度はアクリルやハードジェルに比べると劣るので、ソフトジェルを長さ出しに使うなら5ミリ~1センチ程度が限界です。
爪とジェルの相性が悪い
ジェルネイルにはカラージェル、ベースやトップジェルなどがあり、それぞれの役割は違うものの、どのブランドも同じように見えますよね。
しかし、同じように見えても各メーカーや商品のタイプによって成分や配合が異なっています。
そのため、ジェルによって自爪に合う・合わないが出てくるのです。
例えば、ほとんどのお客さんにとって相性がよく、持ちの良いジェルだったとしても、自分の爪には相性が悪く、すぐにジェルが剥がれてしまうということもあり得ます。
使っているジェルが合うかどうかは、残念ながら試してみないとわかりません。
手に汗をかきやすい

手汗をかきやすい人は、汗が原因でジェルスカルプが取れることがあります。
これは長さ出しをしていない時でも同じです。
ジェルは爪表面や指先に水分や油分が残っていると、爪の根本から浮きやすくなります。
油分や水分の除去はプレパレーションの時点で行いますが、特に手汗をかきやすい人は、爪に汗の水分が残ってしまい、手汗をかかない人と比べると持ちが悪くなってしまうのです。
爪先を使うことが多い
お仕事や家事、日常生活において爪先をよく使う人は、ジェルスカルプが取れやすくなり、持ちが悪い傾向にあります。
ジェルはマニキュアと比べて持ちがよく丈夫な素材ですが、強い衝撃やすり減りには耐えられません。
爪先を使ってパソコンのキーボードをタイピングしていたり、箱や袋、缶などの封を開ける時に爪先を使っている、爪先をぶつけてしまうことが多いという人は取れやすくなるので注意が必要です。
自爪の傷みが激しい
自爪が薄くなっていたり、傷んでいる人は持ちが悪くすぐに取れてしまうことが多いようです。
ジェルをつけることで自爪に多少の強度を持たせることはできますが、それでも健康な爪や厚みがある爪に比べて、自爪が傷んでいる人の方がジェルの耐久性は悪くなります。
女性の場合、爪の厚みが生まれつき薄い人が多い傾向にあります。
そして爪が傷んでしまうのは、間違ったジェルの施術やジェルオフが原因だったり、怪我や栄養不足、強力な洗剤や漂白剤を素手で使っているなど、ネイル以外が要因となっていることもあります。
特にジェルネイルをセルフでつけていて、ジェルを爪から無理やり取るようにオフしている人は爪が傷んでいるケースが多いです。
上記の他にも「施術者の技術不足」「サウナや温泉、ホットヨガなど湿度が高いところによく行く」「爪や指先に疾患がある」という方も取れやすい傾向にあります。
爪の状態やライフスタイルは一人ひとり異なるので、原因がいくつか重なって取れやすくなっていたり、原因がなかなか特定できないことも。
もしネイルサロンでジェルスカルプをつけているなら、使っているジェルを変えてもらったり、お店を変えることも考えた方が良さそうです。
ジェルスカルプの持ちを良くするポイント

ジェルスカルプやジェルネイルの持ちは平均3~4週間です。
それよりも前に取れてしまうのは、上記でご紹介したものが原因かもしれません。
せっかくつけたスカルプがすぐに取れてしまうのは悲しいですし、セルフなら付け直すのも大変ですよね。
持ち良くスカルプを楽しみたいなら、以下のようなポイントを押さえましょう。
また、ネイルサロンでスカルプをつけてもらう時は、ジェルスカルプが取れやすい旨を事前に伝えておくとスムーズです。
ハードジェルやセミハードジェルを使う
長さが短いジェルスカルプでも取れてしまうのは、爪先に負荷がかかっており、ジェルが負荷に耐えられないせいかもしれません。
耐久度を考えると、ソフトジェルの長さ出しではなく、ハードジェルやセミハードジェルを使ったスカルプがおすすめです。
ハードジェルはジェルの中で最も強度が高く、1センチ以上の長さ出しも作ることができます。
長さ出しに使うビルダージェルだけでなく、ベースジェルやカラージェル、トップジェルにもハードジェルタイプがあります。
ただしハードジェルはアセトンで溶かしてオフをすることができません。
ファイルやネイルマシンで全て削り落とさなくてはならないので、ファイルを使っている方はオフに時間と手間がかかることは覚えておきましょう。
また、セミハードジェルは、ハードジェルとソフトジェルどちらの要素も兼ね備えています。
適度な強度があり、アセトンでも少し溶かすことができるので、ファイルで削り落とすのは大変という方は、セミハードジェルを試しに使ってみてはいかがでしょうか。
ただし、ソフトジェルほどしっかり溶けないので、ファイルやネイルマシンをたくさん使うことになります。
ベースジェルやカラージェルはソフトジェルを使い、長さを出すために使うビルダージェルはセミハードジェルを使うというやり方がおすすめです。
アクリルを使う
アクリルはハードジェルよりも強度の高い材料です。
ジェルで作ったスカルプはどうしても取れてしまうという方は、アクリルに切り替えたほうがいいかもしれません。
アクリルスカルプは、アクリルパウダーとアクリルリキッドを使って形成します。
独特な強いにおいがあるので、十分な換気ができる環境で作業しましょう。
そしてアクリルはアセトンで多少溶かすことができるものの、かなり強度の高い素材なのでファイルやネイルマシンもたくさん使います。
セルフでアクリルを取り扱うのはハードルが高い・・・という人は、ネイルサロンで施術を受けることをおすすめします。
プライマーを使う
ジェルを長持ちさせるアイテムに「プライマー」があります。
これはジェルと爪の密着を高めるための下処理剤で、爪先に負荷がかかりやすいジェルスカルプをつける時にも使えます。
水仕事が多い人や手汗をかきやすい人でも、ジェルを塗る前にプライマーをつけることで取れにくくなったという方が多いので、プレパレーションの時に使ってみてはいかがでしょうか。
ただし使い方によってはオフがしにくくなり、自爪を大きく傷つけてしまうかもしれません。
パッケージの説明書きはしっかり読んでから試してみてくださいね。
【ネイリストのおすすめポイント】
プリジェルのマジカルプライマーは、ジェルネイルが取れやすいという人から最も人気を集めているプライマーです。プロのネイリストも愛用者が多く、先端に少し塗布するだけで剥がれや浮きが起こりにくくなります。爪全体に塗ってしまうとオフができないくらい密着してしまうので注意しましょう。
【ネイリストのおすすめポイント】
ビューティネイラーのウルトラボンドはジェルネイル用のプライマーです。購入しやすい価格帯なので、セルフネイラーでも使いやすいのが嬉しいですね。プライマーはたっぷり塗るのではなく、掠れない程度に少量を使うのがポイントです。そして爪全体に塗るのではなく、爪先や爪の根元など、浮いたり剥がれたりしやすい部分に塗布しましょう。
ソフトジェルの長さ出しではなく、ハードジェルやセミハードジェル、アクリルを使ったスカルプにしたり、プライマーを使うことで、セルフでも長持ちなスカルプが楽しめます。
まとめ

ジェルスカルプが取れる・持ちが悪いのは、以下のような6つの原因が考えられます。
- プレパレーション不足
- 長さに対してジェルの強度が足りない
- 爪とジェルの相性が悪い
- 爪先を使うことが多い
- 自爪の傷みが激しい
さらにスカルプはジェルでもアクリルでも、高い技術が必要です。
度失敗したからといって諦めず、何度も練習をすることで、コツが分かってきますし、取れやすい部分や浮きやすい部分も把握しやすくなります。
プライマーを使ったり、上記の6つに当てはまらないようにすれば、長持ちなスカルプが楽しめるようになるはず。
習得するのは大変ですが、キレイで長持ちするスカルプを作れるようにぜひトライしてみてくださいね。


